Vranac
モンテネグロの主力品種。ブラックベリーのニュアンスを持つ濃色で頑強なワインを生む。
ヴラナツ(Vranac)はモンテネグロおよびバルカン半島西部(北マケドニア、コソボなど)を代表する赤ブドウ品種です。その名はセルビア語・モンテネグロ語で「黒い馬」を意味し、深い黒紫色、豊富なタンニン、濃密な果実感が名前に相応しい力強いワインを生みます。バルカン半島でピノ・ノワールやカベルネと並んで国際的認知度が最も高い在来品種です。
モンテネグロ南部、ツルムニツァ渓谷地域を原産とするバルカン固有品種で、少なくとも数百年の栽培史があります。旧ユーゴスラヴィア時代から輸出向けワインの主力品種として知られていました。DNA解析によりクロアチアのプラヴァツ・マリ(Plavac Mali)やジンファンデル(プリミティーヴォ)と近縁であることが示唆されています。独立後のモンテネグロでは国のシンボル品種として積極的にプロモーションされています。
モンテネグロのスカダル湖周辺、石灰岩質土壌の乾燥した温暖な環境で最良のパフォーマンスを発揮します。大陸性と地中海性の中間的な気候に適しており、夏の暑さが果実の凝縮感と高い糖度をもたらします。果皮は非常に厚く、色素(アントシアニン)とタンニンが豊富です。収量は中程度で管理可能。近年はモダンな醸造技術を採り入れた生産者が国際市場向けに品質向上を図っています。
ブラックベリー、プルーンの濃い黒系果実にダークチョコレート、コーヒー、大地、ハーブのアロマが複雑に重なります。タンニンはしっかりとして力強く、酸は中程度。若いうちは力強さが前面に出ますが、長期熟成(5〜15年)で皮革、タバコ、スパイスの複雑味が加わり、円みが出ます。
バルカン半島の肉料理全般と相性が良く、チェヴァプチチ(挽き肉焼き)、プルシュット(生ハム)、子羊のロースト、モンテネグロ産スモーク肉などと最高のペアリングを形成します。力強いスタイルは熟成硬質チーズや猪の煮込みとも合います。
黒ブドウ