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ナパの稜線に灯る一閃——スクリーミング・イーグル セカンド・フライト2019

スクリーミング・イーグルのセカンド・フライト2019は、ナパ・ヴァレーの頂点を知る生産者が手がける希少なセカンドワインです。凝縮感と緻密さを備えつつ、若いうちから輪郭の美しさが際立つ一本として注目されています。

BUDOU-LOG編集部
ナパの稜線に灯る一閃——スクリーミング・イーグル セカンド・フライト2019

ナパの夜明けを裂く静かな翼、セカンド・フライト2019

スクリーミング・イーグルという名門の歩み

スクリーミング・イーグルは1992年にナパ・ヴァレー北端のオークヴィルで設立され、短期間でカリフォルニアを代表するカルト・ワインの頂点へ上り詰めました。創業者ジャン・フィリップ・デルマスのもと、少量生産と徹底した選果を貫き、現在も世界中の愛好家が入手を待ち望む存在です。特にオークヴィル・ベンチの斜面に位置する自社畑は、ナパの中でも卓越した果実の密度と、冷涼な夜がもたらす緊張感で知られています。

また、この生産者は“量より質”を極端なまでに徹底する哲学で評価されてきました。ファーストワインのスクリーミング・イーグルに加え、セカンドワインのセカンド・フライトを通じて、若いうちからその美学に触れられる点も大きな魅力です。2000年代以降はハーヴェイ・ティッブスらの手腕も加わり、華やかさの裏にある精密さが一段と際立つようになったとされています。

セカンド・フライト2019に込められた果実と樽の設計

セカンド・フライト2019は、スクリーミング・イーグルの自社畑から厳選された区画のブドウを中心に仕立てられるセカンドワインで、主にカベルネ・ソーヴィニヨンにメルロ、カベルネ・フランが補助的に加わるスタイルが基本とされています。オークヴィルの砂利質土壌と丘陵の排水性が、果実に深い凝縮感ときめ細かなタンニンを与え、ワインの骨格を支えます。

醸造は、極めて厳格な選果ののち、小型タンクでの発酵と、フレンチオーク樽での熟成を軸に組み立てられます。新樽比率は高めとされますが、樽香が前に出すぎるのではなく、黒系果実の芯とスパイス、ローストのニュアンスを滑らかにまとめる方向に働いています。2019年はナパ全体で果実の成熟と酸のバランスに恵まれた年とされ、この銘柄でも力強さと精緻さの両立が期待されるヴィンテージです。市場では約5万円前後ですが、入手性を考えると価格以上に希少性が際立ちます。

グラスの中の物語

外観は深く濃いルビーからガーネットへ移ろう色調で、グラスの縁にかけてわずかに紫の気配を残します。粘性は高く、ゆっくりと落ちる脚が熟度の高さを物語ります。第一香では、ブラックチェリー、カシス、ブルーベリーの凝縮した果実に、スミレや乾いたハーブ、杉の細かなニュアンスが重なります。時間を置くと、カカオ、タバコ葉、鉛筆の芯、上質なレザーへと広がり、オークヴィルらしい緊張感と艶やかさが同居します。

味わいは、アタックから豊かで、熟した果実の厚みがまず印象に残ります。中盤では酸が輪郭を整え、タンニンは力強いものの非常に緻密で、口中をきれいに引き締めます。余韻にはブラックベリー、ミネラル感、スパイス、ほのかな燻香が長く続き、静かに熱を残します。2019年らしい均整の良さが感じられ、開栓直後よりも少し時間をかけることで、香りの層がより鮮明になるタイプです。

食卓を彩る料理

このワインは、濃密な果実と上質なタンニンを受け止める、旨味の深い料理と好相性です。たとえば、仔羊のロースト・ローズマリーとニンニク風味は、肉のコクとハーブの香りがカベルネ主体の骨格に寄り添います。和牛フィレのグリル・赤ワインソースなら、柔らかな脂と力強い余韻が美しく溶け合います。さらに、牛ほほ肉の赤ワイン煮込み・マッシュポテト添えのような長時間調理の一皿では、煮詰めた旨味がワインの深みを引き出します。

加えて、鴨胸肉のロースト・チェリーソースや、ポルチーニのリゾットのように香りの重心がある料理もおすすめです。熟成チーズなら、コンテや熟成チェダーがよく合います。繊細な白身魚には少し重すぎる一方、火入れを丁寧に施した肉料理とは、互いの輪郭を高め合う関係になりやすいでしょう。

オークヴィルの丘陵が育むナパ・ヴァレーの緊張感

産地の核となるナパ・ヴァレーは、サンパブロ湾から北へ伸びる細長い谷で、冷涼な海風と豊かな日射が同居する土地です。スクリーミング・イーグルが位置するのはオークヴィル、とりわけ西側のベンチランドや丘陵寄りの区画で、砂利を多く含む沖積土と良好な排水性が、カベルネ・ソーヴィニヨンに張りのある酸と黒系果実の深みをもたらします。

オークヴィルは、南のヨントヴィルほど冷涼でもなく、北のラザフォードほど柔らかすぎない、ちょうどよい緊張感を備えたエリアとして知られています。そのため、果実の豊かさと骨格の精密さが両立しやすく、スクリーミング・イーグルのような高密度でありながら端正なワインに向くと考えられています。2019年のセカンド・フライトは、その土地の個性をより親しみやすい形で映し出した一本として、ナパ・ヴァレーの現在地を知るうえで見逃せない存在です。

このワインを深掘る

BUDOU-LOG編集部