# 黒い果実が灯す、ポムロールの静かな深紅の余韻

> シャトー・クリネ 2020は、ボルドー右岸ポムロールの中でも、濃密さと洗練を両立する一本です。メルロを軸にした深い果実味、滑らかなタンニン、長い余韻が魅力で、熟成によってさらに表情を深めるタイプとして評価されています。

## Metadata
- URL: https://budou-log.com/reviews/chateau-clinet-chateau-clinet-2020
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- Published: 2026-05-30T00:00:50.009+00:00
- Updated: 2026-05-30T00:02:44.969419+00:00
- AI-generated: true
- Author: BUDOU-LOG編集部

## Wine
- Name: Château Clinet - Château Clinet 2020
  - Producer (JA): シャトー・クリネ
  - Label (JA): シャトー・クリネ
- Type: red
- Region: ポムロール (https://budou-log.com/regions/pomerol-aoc)
- Producer page: https://budou-log.com/producers/chateau-clinet
- Price (JPY): 17000〜23000

## Tasting Note
- Score: 95/100
- Appearance: 深いガーネットから紫を帯びた濃色で、粘性が高く、縁はまだ若々しい輝きを保つ。2020年らしい凝縮感が視覚的にもはっきり感じられる。
- Aroma (first): ブラックチェリー、カシス、プラムの黒系果実に、スミレやバラの花、シダや鉛筆の芯を思わせる上品な香りが立ち上がる。新樽由来のバニラやトーストも控えめに重なる。
- Aroma (development): 空気に触れると、杉、カカオ、モカ、湿った土、鉄分のニュアンスが現れ、果実の密度の中に複雑さが増す。ミネラル感とスパイスが輪郭を引き締める。
- Taste (attack): 口当たりは滑らかで、熟した果実の甘みが先導する。
- Taste (mid): 中盤は豊かな果実味を芯に、きめ細かなタンニンが広がり、酸が全体を支える。凝縮感がありながらも重すぎず、ブラックベリー、ダークチョコ、スパイスが層を成す。
- Taste (finish): 余韻は長く、果実、ミネラル、樽香が静かに続く。
- Serving temperature: 16-18度
- Decanting: 60分
- Levels (1-5):
  - Tannin: 4
  - Acidity: 4
  - Sweetness: 1
  - Body: 4

## Article

## 黒い果実が灯す、ポムロールの静かな深紅

### Château Clinetの歩みと、ポムロールで築いた確かな存在感

Château Clinet（シャトー・クリネ）は、ボルドー右岸ポムロールの中心部に位置する名門で、その歴史は18世紀にまでさかのぼるとされています。長く家族経営の精神を受け継ぎながら、ポムロールのなかでもとりわけ凝縮感と端正さを兼ね備えた造り手として知られてきました。とくに20世紀後半以降は評価を大きく高め、同地区のトップクラスと並び語られる存在になっています。

ポムロールには公式な格付けがありませんが、そのぶん生産者ごとの実力が明確に現れます。Château Clinetは、華やかなだけでなく、土壌由来の深みと熟成の伸びしろで評価されることが多く、愛好家コミュニティでも「過小評価されにくい実力派」として扱われる傾向があります。複数の世代にわたり品質向上が積み重ねられてきたことが、このワインの安定感につながっています。

### Château Clinet 2020に宿るメルロの深みと、右岸らしい精緻な造り

Château Clinet 2020は、メルロを主体に、少量のカベルネ・フランやカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドすることで、ポムロールらしい肉厚さに輪郭を与えています。畑はポムロール台地の好立地にあり、鉄分を含む粘土質土壌や砂礫質の要素が複雑に混じる区画が、果実の黒さとミネラル感の両立を支えています。

醸造は、区画ごとの熟度を見極めながら丁寧に行われ、発酵後はフレンチオーク樽で熟成されるのが基本です。新樽比率はヴィンテージによって調整されますが、2020年のような出来のよい年は、果実の豊かさを損なわずに骨格を与える方向へ収れんしていきます。市場価格は約20,000円前後と見られ、ボルドー右岸の本格派としては納得感のあるレンジです。2020年は総じて高く評価される年で、凝縮感とバランスを両立したヴィンテージとして語られています。

### グラスの中の物語

グラスに注ぐと、色調は濃いルビーから深いガーネットへと移り、縁にはわずかに紫を残します。粘性はしっかりしており、液面をゆっくり落ちる脚が、熟した果実の密度を予感させます。第一香ではブラックチェリー、カシス、熟したプラムが中心に立ち、そこへスミレ、シダ、湿った土、黒鉛のニュアンスが重なります。しばらく置くと、杉、カカオ、トリュフ、ローストしたコーヒー豆のような深みが開き、ポムロールらしい艶やかな香りへと変化します。

口に含むと、アタックはなめらかで、最初に広がるのは熟した黒系果実の甘みです。中盤では酸が静かに支え、タンニンは緻密でありながら角が立ちません。厚みは十分ですが、重さだけに寄らず、中心にあるミネラル感が全体を引き締めます。余韻は長く、プラムやカカオ、土っぽい香りがゆっくりと残り、熟成によってさらに複雑さを増すタイプだと感じられます。若いうちから飲みやすさを備えつつ、数年の熟成で真価を見せるヴィンテージです。

### 食卓を彩る料理と、ポムロールの深みに寄り添う一皿

Château Clinet 2020には、果実味とタンニンの滑らかさを受け止める、旨味のある料理がよく合います。たとえば、仔羊のロースト・ローズマリー風味は、肉の甘みとハーブの香りがワインの黒系果実に自然につながります。牛ほほ肉の赤ワイン煮込み・マッシュポテト添えは、煮込み由来のコクとソースの厚みがワインの密度と好相性です。

さらに、鴨胸肉のロティ・赤ワインとベリーのソースは、ポムロールらしい果実の奥行きを引き出します。ほかにも、きのこのリゾット・パルミジャーノ仕立て、黒トリュフを添えた牛フィレのグリル、豚肩ロースの低温ロースト・ジュのソースなどが合わせやすい一皿です。しっかりしたソースや香ばしさを備えた料理ほど、このワインの艶やかさが際立ちます。

### ポムロール台地、ル・パンの丘に近い深い粘土が育むもの

産地はフランス・ボルドー右岸、ジロンド川右岸に広がるポムロールAOCです。シャトー・クリネの畑は、ポムロール村の中心からほど近い台地上に位置し、近隣にはル・パンやペトリュスの名が語られる一帯があります。土地全体としては小規模ながら、粘土質、砂利、鉄分を含む土壌がモザイク状に広がり、区画ごとに異なる個性を与えています。

ポムロールは、サン・テミリオンのような石灰岩の明快さとは異なり、粘土が生むしっとりした質感と、右岸らしいメルロの豊潤さが持ち味です。海洋性気候の影響を受けつつも、台地は排水性を確保しやすく、成熟期には昼夜の寒暖差が香りの複雑さを支えます。Château Clinet 2020は、その土地の静かな重みと洗練を、もっとも素直に映し出す一本といえるでしょう。
