# 深紅の尖塔が語る、ペサック・レオニャンの静かな威厳

> シャトー・パプ・クレマン2020は、グラーヴの礫質土壌が生む骨格と、名門が磨いてきた精緻さが同居する一本です。カベルネ・ソーヴィニヨンを軸に、熟した果実、スパイス、杉、タバコの香りが重なり、若いうちから品格を感じさせます。

## Metadata
- URL: https://budou-log.com/reviews/chateau-pape-clement-chateau-pape-clement-2020
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- Published: 2026-06-10T00:00:51.655+00:00
- Updated: 2026-06-10T00:03:04.390078+00:00
- AI-generated: true
- Author: BUDOU-LOG編集部

## Wine
- Name: Château Pape Clément - Château Pape Clément 2020
  - Producer (JA): シャトー・パプ・クレマン
  - Label (JA): シャトー・パプ・クレマン
- Type: red
- Region: ペサック・レオニャン (https://budou-log.com/regions/pessac-leognan)
- Producer page: https://budou-log.com/producers/chateau-pape-clement
- Price (JPY): 18700〜25300

## Tasting Note
- Score: 95/100
- Appearance: 深いガーネットから濃いルビー。若さを感じる鮮やかさがあり、縁はまだ厚く、粘性も高めで凝縮感のある外観です。
- Aroma (first): カシス、ブラックチェリー、プラムに、杉、鉛筆の芯、乾いた土が重なる。新樽由来のバニラとカカオも控えめに香ります。
- Aroma (development): 時間とともに、黒鉛、タバコ、スミレ、湿った石、ハーブのニュアンスが広がる。果実はより黒系へまとまり、複雑さが増します。
- Taste (attack): しなやかで密度のある果実が滑らかに広がる。
- Taste (mid): 黒系果実の厚みを、きめ細かなタンニンと生き生きした酸が支える。ミネラル感、スパイス、ロースト香が層を作り、力強さと精緻さが両立します。
- Taste (finish): 余韻は長く、カカオと杉、黒胡椒が残る。締まりのある構造で、後半まで上品に持続します。
- Serving temperature: 16-18度
- Decanting: 90分
- Levels (1-5):
  - Tannin: 4
  - Acidity: 4
  - Sweetness: 1
  - Body: 5

## Article

## 深紅の塔の麓で熟す、静かな威厳

### シャトー・パプ・クレマンの歩みと、ボルドー格付けの中での存在感

シャトー・パプ・クレマンは、ボルドー左岸のペサック・レオニャンを代表する歴史的シャトーのひとつです。起源は13世紀までさかのぼり、後にボルドー大司教となるベルナール・ド・グートが所有したことから、現在の名が広く知られるようになりました。近代以降はフィラディ家のもとで評価を高め、グラーヴ格付けの中でも最上位級の名門として認識されています。都市ボルドーに近い立地でありながら、格付けシャトーらしい威厳と、現代的な精度を両立させてきた点が大きな特徴です。

このシャトーは、単に歴史が長いだけではありません。畑仕事の精密さ、区画ごとの管理、醸造設備への継続投資によって、伝統を現代的な品質へと結びつけてきた存在です。宗教的・文化的な由来を持つ名にふさわしく、ワインにもどこか厳かな輪郭が宿ると語られています。

### Château Pape Clément 2020が映す、礫の畑と精緻な醸造

2020年のシャトー・パプ・クレマンは、左岸らしいカベルネ・ソーヴィニヨン主体のブレンドを核に、メルローやカベルネ・フランが補完する構成です。畑はペサック・レオニャンの砂利質、粘土質、石灰質が入り混じるテロワールに位置し、日中の蓄熱と夜間の冷却が果実の成熟と酸の保全を両立させます。グラーヴ地区らしい礫の多い土壌は、ブドウの根を深く伸ばし、ワインにミネラル感と張りのある骨格を与えるとされています。

醸造は区画ごとの丁寧な選別を前提に、発酵後の熟成をフレンチオーク樽で行うスタイルです。新樽比率は高めに設定されることが多く、果実の厚みを木樽のロースト香、杉、クローブ、カカオのニュアンスが包み込みます。2020年は、温暖で成熟に恵まれた年とされ、豊かな果実味に加えて、左岸らしい張りのあるタンニンが得られたヴィンテージとして評価されています。市場価格がおよそ22,000円という点からも、グラン・ヴァンとしての完成度と熟成ポテンシャルが期待される一本です。

### グラスの中の物語、黒果実と杉が折り重なる輪郭

外観は、濃いルビーレッドから深いガーネットへと移ろう色調で、グラスの縁にわずかな紫の気配を残します。粘性は中庸からやや高めで、熟度の高さを静かに示します。第一香では、ブラックチェリー、カシス、プラムなどの黒果実が前面に現れ、その奥から杉、鉛筆の芯、黒胡椒、ダークチョコレートが立ち上がります。

しばらく空気に触れると、スミレや乾いたタバコ、トリュフ、焙煎したコーヒー豆のような複雑さが開き、香りの層がより立体的になります。口に含むとアタックはなめらかで、熟した果実が厚みをもって広がりますが、すぐにミネラル感と引き締まった酸が全体を整えます。中盤では、タンニンが緻密な織物のように舌を包み、若さのある力感と優雅さが同時に感じられます。余韻は長く、カシスリキュール、スパイス、燻した木、湿った石を思わせる印象がゆっくりと残ります。若いうちから魅力的ですが、数年の熟成でより滑らかさが増すタイプといえます。

### 食卓を彩る料理、赤身肉と香ばしさで響き合う組み合わせ

シャトー・パプ・クレマン2020は、果実の凝縮感と樽由来の香ばしさがあるため、旨味の深い料理と好相性です。まず合わせたいのは、仔羊のロースト・ローズマリー風味です。脂の甘みとハーブの清涼感が、ワインのスパイス感と調和します。次に、牛頬肉の赤ワイン煮込み・マッシュポテト添え。長時間煮込んだゼラチン質の旨味が、しっかりしたタンニンをやわらげます。さらに、鴨胸肉のロースト・ポワヴラードソースは、果実味と香ばしさの橋渡しになり、左岸の赤に典型的な魅力を引き出します。

そのほか、きのこのソテーを添えた牛フィレのグリルや、ビーフシチューのような濃厚な煮込み料理とも合わせやすいでしょう。トリュフ、ポルチーニ、ジュの旨味を含むソースを選ぶと、ワインの奥行きがいっそう際立ちます。2020年らしい熟度を考えると、デキャンタージュで香りを開かせてから供するのが理想的です。

### ペサック・レオニャンの礫土と、ボルドー市街に近い名門の風景

産地のペサック・レオニャンは、ボルドー市街の南、ガロンヌ川左岸に広がるAOCです。中心となるのはペサックやレオニャン、メリアデックではなく、実際にはペサック、レオニャン、マルティヤック、カネジャンなどのコミューンにまたがる区画で、礫質の土壌が広く見られます。シャトー・パプ・クレマンの畑もこのグラーヴの一角にあり、石の多い土壌、適度な排水性、温暖な海洋性気候の恩恵を受けています。

この地域は、赤ワインだけでなく白ワインの銘醸地としても知られますが、赤においてはカベルネ・ソーヴィニヨンの張り、メルローの丸み、カベルネ・フランの香りの高さを見事にまとめる土地柄です。ボルドー中心部から近いながら、畑に立つと都市の気配よりも、砂利の熱、湿った森の空気、ガロンヌ川の影響が強く感じられるとされます。シャトー・パプ・クレマン2020は、そのテロワールの個性を堂々と、しかし過度に雄弁ではなく語る一本です。
