# 黒い翼が舞うポイヤック、ピション・バロンの2020年が描く深い余韻

> レ・グリフォン・ド・ピション・バロン2020は、シャトー・ピション・バロンが手がけるセカンドラベルです。カベルネ・ソーヴィニヨンを軸に、ポイヤックらしい骨格と洗練を備えつつ、比較的早くから楽しめる仕上がりが魅力です。

## Metadata
- URL: https://budou-log.com/reviews/chateau-pichon-baron-les-griffons-de-pichon-baron-2020
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- Published: 2026-06-03T00:00:53.087+00:00
- Updated: 2026-06-03T00:02:42.9857+00:00
- AI-generated: true
- Author: BUDOU-LOG編集部

## Wine
- Name: Château Pichon Baron - Les Griffons de Pichon Baron 2020
  - Producer (JA): シャトー・ピション・バロン
  - Label (JA): レ・グリフォン・ド・ピション・バロン
- Type: red
- Region: ポイヤック (https://budou-log.com/regions/pauillac)
- Producer page: https://budou-log.com/producers/chateau-pichon-baron
- Price (JPY): 10200〜13800

## Tasting Note
- Score: 92/100
- Appearance: 深いルビー～ガーネット。濃密で粘性があり、若さを残しつつもエッジはなめらか。グラスの縁にわずかな紫を感じる濃厚な色調。
- Aroma (first): ブラックカラント、カシスリキュール、ブラックチェリーに、杉、鉛筆の芯、燻したスパイスが重なる。新樽由来のバニラもほのかに感じる。
- Aroma (development): 空気に触れると、プラムやブルーベリー、タバコ葉、湿った土、砕いた石、トーストした木香が広がり、クラシックなポイヤックらしい骨格が現れる。
- Taste (attack): 力強く滑らかな立ち上がり。凝縮した黒系果実が先行し、すぐに緻密なタンニンが支える。
- Taste (mid): 中盤はカシス、ブラックベリー、スモーク、杉、ダークチョコレートが層をなし、酸が全体を引き締める。果実の密度が高く、洗練された樽のニュアンスが背景を整える。
- Taste (finish): 余韻は長く、ミネラル感とスパイス、カカオが静かに残る。タンニンは若々しくも上品。
- Serving temperature: 16-18度
- Decanting: 60-90分
- Levels (1-5):
  - Tannin: 4
  - Acidity: 3
  - Sweetness: 1
  - Body: 4

## Article

## 黒い翼が風を裂く、ポイヤックの深層を映す2020年

### Château Pichon Baronの歩みと、格付け2級が守る誇り

シャトー・ピション・バロンは、17世紀後半にこの地の名家ピション家によって礎が築かれた、ポイヤックを代表するメドック格付け第2級の名門です。1855年のメドック格付けで高い評価を得て以来、シャトー・ラトゥールの向かいに広がる理想的な立地とともに、力強さと緻密さを両立するスタイルで知られてきました。現代ではAXAミレジムのもとで設備投資と区画管理が進み、伝統を守りながらも精度を高める方向へ進化しています。

その哲学は、重厚さだけに頼らず、ワインに輪郭と透明感を与えることにあります。グラン・ヴァンはもちろん、セカンドラベルにも本家の思想が息づき、若いうちからでもポイヤックらしさを感じられる造りが評価されています。2020年は豊かな果実と引き締まった酸が両立した年とされ、産地の魅力が明瞭に表れたヴィンテージとして好意的に受け止められています。

### レ・グリフォン・ド・ピション・バロン2020に宿る区画の個性と醸造

レ・グリフォン・ド・ピション・バロンは、グラン・ヴァンの選別から外れた区画や樹齢、成熟度の異なるロットを活かしてつくられるセカンドラベルです。銘柄名の「Griffons」は、シャトーのシンボルであるグリフォンに由来し、本家の気品を受け継ぐ存在として位置づけられています。2020年は主にカベルネ・ソーヴィニヨンを核に、メルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドを補助的にブレンドする構成が一般的で、ポイヤックらしい黒系果実の芯を保ちながら、アプローチのしやすさも備えます。

畑はジロンド川に近いポイヤック村の砂利質土壌にあり、排水性の高いグラーヴがブドウの凝縮感を支えます。発酵は区画ごとに行われ、ステンレスタンクやコンクリートタンクを使って果実味を丁寧に引き出す方針が採られます。熟成はフレンチオーク樽でおよそ12〜18か月程度とされ、新樽比率はグラン・ヴァンより抑えめです。樽香を前面に出すより、果実、タンニン、酸のバランスを整える設計だと言われています。

### グラスの中の物語、黒果実と杉がほどけていく

外観は深みのあるガーネットからルビーの色調で、縁には若さを示す紫のニュアンスが残ります。粘性は中庸からやや高めで、グラスの内側を静かに滑り落ちる筋に、2020年らしい果実の密度が感じられます。

第一香ではブラックベリー、カシス、プラムといった黒系果実が前面に出て、続いて杉、鉛筆の芯、湿った石、ほのかなバニラが開いてきます。時間がたつと、タバコの葉、ブラックオリーブ、スミレ、甘草のニュアンスが重なり、ポイヤックらしい端正な複雑さが現れます。口に含むとアタックはなめらかで、果実の厚みが先行しますが、中盤からカベルネ・ソーヴィニヨン由来の骨格が現れ、タンニンはきめ細かくも確かな存在感を保ちます。余韻にはカカオ、スパイス、黒鉛の印象が残り、輪郭の整ったフィニッシュが続きます。若いうちから楽しめますが、数年の熟成でさらに調和が進むタイプです。

### 食卓を彩る料理、力強さを受け止める一皿

このワインには、味わいに芯のある肉料理がよく合います。たとえば、仔羊のロースト・ローズマリー風味は、タンニンと肉の旨みが自然に寄り添います。牛ほほ肉の赤ワイン煮込みは、煮詰めたソースの深みと黒系果実の風味が呼応しやすい組み合わせです。さらに、鴨胸肉のロースト・赤ワインとベリーのソースは、果実味の親和性が高く、ポイヤックらしいエレガンスを引き出します。

ほかにも、ハーブを効かせた豚肩ロースのグリル、きのこと牛肉の赤ワイン煮込み、グリルしたラムチョップなども好相性です。チーズならコンテやミモレットの熟成タイプが合わせやすく、塩味と旨みがワインの果実を支えます。市場価格が約12,000円という点を踏まえると、日常の贅沢としても、少し改まった食卓でも使いやすい一本です。

### ポイヤック村からジロンド川へ、グラーヴが育てる張りと品格

ポイヤックはボルドー左岸の中でも、格付けシャトーが集積する特別な村として知られています。サン・ジュリアンの南に位置し、ジロンド川に面した緩やかな丘陵には、砂利、砂、粘土が複雑に混じる土壌が広がります。なかでもシャトー・ピション・バロン周辺は、川に近い温暖な影響を受けつつ、排水性に優れたグラーヴがカベルネ・ソーヴィニヨンの成熟を後押しします。

ポイヤックのAOCは、メドックのなかでも力強さと長熟性で語られることが多く、カベルネ主体のブレンドがその個性を鮮明に映し出します。2020年は暑さと乾燥の恩恵を受けながらも、収穫期のバランスが保たれた年とされ、豊かさと精密さを同時に備えたスタイルが生まれました。レ・グリフォン・ド・ピション・バロン2020は、そのポイヤックの本質を、より親しみやすいかたちで味わえる一本です。
