# 深い森の樹液が熟す夜――シャトー・スミス・オー・ラフィット2020の静かな威厳

> ペサック・レオニャンを代表する名門、シャトー・スミス・オー・ラフィットの2020年は、黒系果実の深みとスモーキーなニュアンス、きめ細かなタンニンが美しく調和した一本です。ワインの骨格とエレガンスを両立し、熟成の可能性も感じさせます。

## Metadata
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- Published: 2026-06-09T04:01:01.217+00:00
- Updated: 2026-06-09T04:03:20.812309+00:00
- AI-generated: true
- Author: BUDOU-LOG編集部

## Wine
- Name: Château Smith Haut Lafitte - Château Smith Haut Lafitte 2020
  - Producer (JA): シャトー・スミス・オー・ラフィット
  - Label (JA): シャトー・スミス・オー・ラフィット
- Type: red
- Producer page: https://budou-log.com/producers/chateau-smith-haut-lafitte-2
- Price (JPY): 25500〜34500

## Tasting Note
- Score: 95/100
- Appearance: 濃いガーネットから深いルビー。外縁はまだ若々しく、粘性も高めで、熟度の高い果実感と骨格の強さを感じる外観。
- Aroma (first): ブラックカラント、ブラックチェリー、カシスリキュールに、杉、鉛筆の芯、スモーキーなオークが重なる。凝縮感があり上品。
- Aroma (development): 時間とともにスミレ、プラム、湿った土、タバコ、石墨、可憐なハーブが立ち上がる。ミネラル感と新樽の複雑さが一体化する。
- Taste (attack): 滑らかで緻密。黒系果実の甘みが先に広がり、端正な酸がすぐに輪郭を整える。
- Taste (mid): 中盤はフルボディで層が厚く、カシス、ダークチェリー、カカオ、ロースト香が重なり合う。タンニンはきめ細かく、力強いが洗練されている。
- Taste (finish): 余韻は長く、石墨、スパイス、黒果実の皮感が静かに続く。エレガントで持続性が高い。
- Serving temperature: 16-18度
- Decanting: 60分
- Levels (1-5):
  - Tannin: 4
  - Acidity: 4
  - Sweetness: 2
  - Body: 5

## Article

## 深い森の樹液が熟す夜――シャトー・スミス・オー・ラフィット2020の静かな威厳

### シャトー・スミス・オー・ラフィットという名門の歩み

シャトー・スミス・オー・ラフィットは、ボルドー左岸のペサック・レオニャン、レオニャン村の南西に広がる歴史あるシャトーです。創業は1365年までさかのぼると言われ、現存するボルドーの名門の中でも特に古い部類に入ります。19世紀にはイギリス出身のジョージ・スミスが所有し、その名が現在のシャトー名に残りました。のちにダニエル・カティアール家の手に渡ってからは、品質の再構築が進み、現在では同地区を代表するグラン・クリュ・クラッセの一角として高い評価を確立しています。

このシャトーの魅力は、単に伝統が長いだけではありません。自社畑の有機・ビオディナミへの取り組み、森に囲まれた一体的なテロワール、そして白・赤ともに精密なワインを生み出す姿勢が、愛好家の支持を集めています。近年は評論家からも、ペサック・レオニャンらしい燻香と石質感に、熟した果実の密度を重ねるスタイルとして高く語られています。

### Château Smith Haut Lafitte 2020が描く深みと精度

2020年の赤は、カベルネ・ソーヴィニヨンを軸にメルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドをブレンドする、同シャトーらしい構成です。比率はヴィンテージによって微調整されますが、左岸らしい骨格を保ちながら、2020年らしい凝縮感と滑らかさを両立しています。畑はレオニャンの砂礫質土壌と鉄分を含む粘土、さらにガロンヌ川由来の小石まじりのグラーヴが主体で、排水性に優れた区画が健やかな熟度をもたらします。

醸造は区画ごとに丁寧に行われ、発酵は温度管理されたタンクで実施されます。フレンチオーク樽での熟成は18か月前後が一般的で、新樽比率も高めです。果実の密度を押し出しながらも、樽香は主張しすぎず、スモーキーさ、杉、カカオ、スパイスの層を織り込む方向に仕上げられます。2020年は熱量のある年でしたが、収穫の精度と酸の保持が功を奏し、力感だけでなく直線的な美しさも感じられるヴィンテージと言われています。市場価格が3万円前後というのも納得できる、完成度の高い赤ワインです。

### グラスの中の物語

グラスに注ぐと、色調は深いルビーからガーネットへ移る濃密なトーンで、中心部にはほぼ黒紫に近い深みがあります。粘性はしっかりとしており、ゆっくりと落ちる涙が凝縮感を示します。第一香ではブラックチェリー、カシス、プラムに、火打石、湿った森、軽いトースト香が重なります。時間とともに開くと、杉、鉛筆の芯、タバコ、カカオ、ブラックオリーブ、そしてペサック・レオニャンらしい燻したミネラル感が現れます。

口中ではアタックに丸みがあり、熟した黒果実が先導しますが、すぐに引き締まった酸と緻密なタンニンが輪郭を与えます。中盤ではメルロ由来の肉付きとカベルネ・ソーヴィニヨンの張りが重なり、味わいに層が生まれます。余韻は長く、スモーク、シダー、ミネラル、ダークチョコレートが静かに残ります。若いうちから楽しめますが、10年単位での熟成も十分期待できるスタイルです。

### 食卓を彩る料理との相性

このワインには、赤身の旨味や香ばしさを備えた料理がよく合います。たとえば、

- 仔羊のロースト・ローズマリーとガーリック風味

- 牛フィレ肉のグリル・赤ワインソース

- 鴨胸肉のロースト・赤いベリーのソース

- 牛ほほ肉の赤ワイン煮込み・根菜添え

さらに、きのこを使った料理とも相性が良く、ポルチーニのリゾットや、マッシュルームを詰めたパイ包みもおすすめです。ワインの樽香と土っぽいニュアンスが、食材の香りを立体的に引き上げます。熟成が進むとタンニンはより滑らかになり、鹿肉のロティや鴨のコンフィのようなジビエにも合わせやすくなります。

### レオニャンの森とグラーヴが育てるペサック・レオニャンの輪郭

産地であるペサック・レオニャンは、ボルドー市街の南、ガロンヌ川左岸に位置し、レオニャン、ペサック、マルティヤック、タランス、グラディニャンなどのコミューンにまたがるAOCです。特にレオニャン村周辺は、砂礫質のグラーヴ土壌と森に囲まれた冷涼感が特徴で、昼夜の寒暖差が果実の香りと酸を保ちます。シャトー・スミス・オー・ラフィットは、その中心的存在として、畑の周囲に広がる森や小川までもテロワールの一部として捉えてきました。

この地の赤ワインは、メドックの力強さに比べるとややしなやかで、同時に燻香や石灰質の印象を帯びることが多いとされます。シャトー・スミス・オー・ラフィット2020は、その個性を最も洗練された形で示す一本であり、左岸の威厳と静けさを同時に感じさせます。
