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霧の丘に宿る赤い静寂──ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ 2021 ブルゴーニュ

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティのブルゴーニュ 2021は、名門の思想をもっとも素直に映す入門キュヴェです。冷涼で厳しい年らしい緊張感と、ピノ・ノワールの透明感が共存し、若いうちから香りの美しさが際立ちます。

BUDOU-LOG編集部
霧の丘に宿る赤い静寂──ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ 2021 ブルゴーニュ

霧がほどける夜、名門の赤が静かに息づく

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティという名門の歩み

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)は、1869年に現在の名に通じる系譜が形づくられ、ブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネを中心に世界最高峰の畑を手がける名門として知られています。ロマネ・コンティ、ラ・ターシュ、リシュブール、ロマネ・サン・ヴィヴァン、グラン・エシェゾーといった特級畑を擁し、ブルゴーニュの頂点を象徴する存在です。少量生産、厳しい選果、畑仕事への徹底したこだわりは、単なるブランドではなく「畑の個性を極限まで引き出す」という哲学の表れです。2021年は春の霜害や冷涼な夏の影響を受けた年ですが、その困難を経たからこそ、DRCの緊張感ある美学がいっそう際立つヴィンテージと言われています。市場価格は約9万円とされますが、名門の最も素朴な入口としても特別な存在感があります。

Bourgogne 2021に宿るピノ・ノワールの輪郭

このワインは、ブルゴーニュの地域名AOCでつくられる赤ワインで、品種はピノ・ノワールです。DRCのブルゴーニュには、同社が所有する複数の区画や、ヴォーヌ・ロマネ村周辺の若木由来のブドウが用いられることがあり、上級キュヴェへ通じる選果思想が反映されています。畑は石灰質を含む粘土石灰土壌が主体で、冷涼な気候と相まって、酸の張りと香りの精密さを生みやすい条件です。醸造は丁寧な除梗と発酵管理を基本とし、新樽比率は上級キュヴェより控えめに抑えられる傾向があります。樽熟成による骨格はありながら、前面に出るのは果実とテロワールの輪郭で、若いうちから「DRCらしさ」を感じやすい設計です。2021年は収量が少ないぶん、凝縮よりも精度と透明感が印象に残る年といえます。

グラスの中の物語

グラスに注ぐと、色調は深すぎないルビーからやや紫を帯びたガーネットへ移ろい、粘性は控えめで、むしろ線の細さが美しく映ります。第一香では、赤スグリ、ラズベリー、野いちごのような小粒の果実に、バラの花弁、すみれ、ほのかな鉄分を思わせる香りが立ち上がります。しばらく開くと、乾いたスパイス、白胡椒、紅茶、湿った森の下草、ほのかなオーク由来のトースト感が現れ、香りの層が静かに広がります。アタックはやわらかく、しかし芯は明瞭です。中盤では、冷涼年らしい酸が果実を支え、タンニンはきめ細かく、舌の上で絹のようにほどけます。余韻は派手ではないものの、赤い果実とミネラル感、ほのかなスパイスが長く続き、飲み終えた後に静かな余白を残します。2021年はクラシックで繊細、早飲みも可能ですが、数年の熟成で香りの奥行きがさらに増すと見込まれます。

食卓を彩る料理

このワインには、香りを支える繊細な火入れと、脂の質がきれいな料理がよく合います。たとえば、仔羊のロースト・ローズマリーとタイムの香り、鴨胸肉のロティ・赤ワインソース、きのこのリゾット・パルミジャーノ仕立ては相性が良い組み合わせです。さらに、牛ほほ肉の赤ワイン煮・根菜添えなら、2021年のしなやかな酸が煮込みのコクをすっきりとまとめてくれます。肉料理だけでなく、マグロのグリル・胡椒風味や、舞茸のソテー・バターとハーブのような一皿でも、赤い果実の透明感が生きます。重要なのは、ソースを重くしすぎず、素材の質感を残すことです。

ヴォーヌ・ロマネ村から続くブルゴーニュの精密な景色

このワインの背景には、ヴォーヌ・ロマネ村を中心とするコート・ド・ニュイの精緻な地形が広がっています。標高はおよそ250〜300メートル前後、東〜南東向きの斜面が太陽を受け、ジュラ紀由来の石灰岩と粘土が複雑に入り混じる土壌が、ピノ・ノワールにしなやかな骨格を与えます。近隣にはラ・ターシュやロマネ・サン・ヴィヴァン、リシュブールといった伝説的なClimatが連なり、村そのものがブルゴーニュの象徴として語られてきました。AOCブルゴーニュは広域名ではありますが、DRCの手にかかると、その根底にあるヴォーヌ・ロマネの緊張感と気品がかすかに滲みます。2021年は収穫量の厳しさが話題になった年ですが、そのぶん出来上がったワインには、派手さよりも精度、量よりも密度が宿ると評される傾向があります。

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BUDOU-LOG編集部