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ボルゲリの夕映えにきらめく、オルネッライアのもう一つの旗印

レ・セルレ・ヌオーヴェ・デッロルネッライア2020は、ボルゲリの海風とオルネッライアの精緻さが響き合うセカンドワインです。カベルネ・ソーヴィニヨンを軸にした端正な骨格と、黒系果実の艶やかな表情が魅力で、約1万2000円の価格帯でも高い完成度を示します。

BUDOU-LOG編集部
ボルゲリの夕映えにきらめく、オルネッライアのもう一つの旗印

ボルゲリの潮風が磨く、もうひとつのオルネッライア

オルネッライアという名門が歩んだ、海に近いトスカーナの革新

オルネッライアは1981年、トスカーナ州リヴォルノ県のボルゲリ地区で創設されました。地中海に近いこの土地で、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドといった国際品種を用い、サッシカイアと並んでボルゲリを世界的銘醸地へ押し上げた立役者として知られています。のちにファミリーの一員であるマルケーゼ・ロドヴィコ・アンティノリのもとで哲学を深め、現在は精緻な選果、区画ごとの個性の表現、そして長期熟成に耐える構造美を重んじる造りで高く評価されています。レ・セルレ・ヌオーヴェ・デッロルネッライアは、その思想をより親しみやすい形で示すセカンドワインであり、若いうちからオルネッライアの世界観に触れられる一本として人気があります。市場価格が約12,000円前後という点も、名門の輪郭を知る入り口として魅力的です。

レ・セルレ・ヌオーヴェ・デッロルネッライア2020の品種構成と醸造が描く輪郭

2020年のレ・セルレ・ヌオーヴェ・デッロルネッライアは、主にカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドで構成される、いわばボルゲリのクラシックなブレンドです。畑はオルネッライアの所有する複数区画の中でも、セカンドワイン向けに選ばれた若木や、より早く親しみやすさを見せるロットが中心とされます。ボルゲリらしく、沖合からの海風がブドウを過熟から守り、日照と海洋性気候が果実の密度を高めます。土壌は砂質、粘土質、礫、さらには沖積由来の層が混じり、排水性と保水性のバランスが複雑です。醸造では区画ごとに発酵を行い、温度管理のもとで果実味とタンニンを丁寧に抽出し、その後はオーク樽で熟成されます。新樽比率はグラン・ヴァンより穏やかで、樽香を前面に出すよりも、果実の鮮度とテクスチャーを滑らかに整える方向に重きが置かれています。2020年は、温暖な年らしい凝縮感を持ちながら、酸の輪郭が保たれたヴィンテージとされ、バランスの良さが魅力として語られています。

グラスの中の物語――香りと味わいの輪郭が少しずつほどける

グラスに注ぐと、色調は深いルビーからガーネット寄りへと移ろい、縁にわずかな紫のニュアンスが残ります。粘性はしっかりしており、熟した果実の凝縮を予感させます。第一香ではブラックチェリー、カシス、熟したプラムが中心に立ち、そこへスミレ、杉、黒鉛、ほのかなバニラやスパイスが重なります。しばらく空気に触れると、トマトの葉、乾いたハーブ、タバコ、土っぽいニュアンスが開き、ボルゲリらしい地中海の陰影が現れます。アタックはなめらかで、果実の甘みが先に広がり、その直後にきめ細かなタンニンが骨格を形づくります。中盤では赤系果実よりも黒系果実が主役となり、樽由来の丸みが全体を包み込むように推移します。余韻にはカカオ、リコリス、塩気を思わせるミネラル感が残り、長く、ややスモーキーに伸びていきます。セカンドワインでありながら、安易な軽快さではなく、オルネッライアらしい密度と洗練をしっかり備えています。

食卓を彩る、ボルゲリの力強さに寄り添う一皿

このワインには、果実の厚みとタンニンのきめ細かさを受け止める料理がよく合います。たとえば、仔羊のロースト・ローズマリーとニンニクの香り付けは、ハーブ感と熟した果実味を美しくつなぎます。牛ほほ肉の赤ワイン煮込み・ポレンタ添えは、長い余韻とソースの濃度が響き合い、ワインの柔らかな旨みを引き出します。さらに、鴨胸肉のロースト・ベリーソースや、トリュフをのせたポルチーニのタリアテッレも好相性です。グリルしたサーロインステーキ・黒胡椒仕立てのような直球の肉料理なら、カベルネ・ソーヴィニヨン由来の骨格がより鮮明に立ち上がります。熟成ゴーダやペコリーノ・スタジオナートのようなハードチーズとも合わせやすく、食後までゆっくり楽しめる一本です。

ボルゲリ・ボルゴーニョの海風と石畳が育む、リヴォルノ県沿岸のテロワール

レ・セルレ・ヌオーヴェが生まれるのは、イタリア・トスカーナ州リヴォルノ県のボルゲリです。行政区としてはカスティリオーネッロ・デッラ・ペスカイアの北側、ボルゲリの村落を中心に、海岸から内陸へ緩やかに広がる丘陵地帯が産地の核を成します。ボルゲリDOCは、マリーナ・ディ・カスタニェート・カルドゥッチ近郊から続く海風の通り道と、砂礫混じりの沖積土壌が特徴で、カベルネ系品種にとって理想的な熟度と酸の両立を生みやすい土地です。オルネッライアの畑は、平地だけでなく緩やかな斜面や水はけの良い区画を含み、日照と風の恩恵を受けながらも、夜間の冷却で香りを保ちます。サッシカイアのあるサン・グイド地区と並び、ボルゲリは今や“スーパータスカン”の象徴的エリアとして世界に認知されています。海を望むトスカーナの午後に、熟した黒果実の輪郭がくっきりと浮かぶ――そんな土地の記憶が、この2020年にも確かに宿っています。

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BUDOU-LOG編集部