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白い石畳に朝靄がほどける、シャサーニュ・モンラッシェ2022の静かな輪郭

ジョゼフ・ドルーアンのシャサーニュ・モンラッシェ2022は、ブルゴーニュ白のなかでも石灰質の張りと果実の厚みが魅力の一本です。名門の造り手らしい精緻さと、村名AOCらしい伸びやかな余韻が印象に残ります。

BUDOU-LOG編集部
白い石畳に朝靄がほどける、シャサーニュ・モンラッシェ2022の静かな輪郭

白い石畳の上に立つ果実、シャサーニュ・モンラッシェ2022の静かな余韻

ジョゼフ・ドルーアンの歩み

ジョゼフ・ドルーアンは1880年、ブルゴーニュのボーヌで創業した名門メゾンです。現在はボーヌを本拠に、ネゴシアンとしての広がりとドメーヌとしての自社畑管理の両輪で知られています。特にブルゴーニュ全域の銘醸地に深く根を張り、区画ごとの個性を丁寧に映す姿勢は、長年にわたり高い信頼を集めてきました。化学肥料や除草剤の使用を抑え、土地の表情を尊重する考え方も評価されており、同社の白ワインは「派手さよりも精度」と語られる傾向があります。ジョゼフ・ドルーアンの名は、格式と親しみやすさを併せ持つブルゴーニュの象徴のひとつです。

シャサーニュ・モンラッシェに宿る石灰の緊張感

シャサーニュ・モンラッシェは、ブルゴーニュ地方コート・ド・ボーヌの南端に位置する村名AOCで、ピュリニー・モンラッシェ、サントネーと隣接します。この2022年はシャルドネ100%で仕立てられ、村名クラスながらも上質な厚みと張りを両立するのが持ち味です。シャサーニュはモンラッシェ丘陵の南側から西側にかけて広がり、粘土石灰質土壌に石の多い区画が点在します。こうしたテロワールは、果実味に丸みを与えつつ、終盤にしっかりしたミネラル感を残します。ジョゼフ・ドルーアンでは、畑ごとの個性を尊重しながら穏やかな圧搾と低温での発酵を行い、オーク樽での熟成を通じて味わいに奥行きを与えるスタイルが基本です。新樽の比率は抑えめで、樽香を前面に出しすぎない設計が、この銘柄の品のよさにつながっています。市場価格が約16,000円という点を踏まえても、村名ブルゴーニュの中で十分に存在感のある一本といえます。

グラスの中の物語

外観は淡いレモンイエローから、やや金色を帯びた輝きへと移ろいます。粘性は中程度で、グラスの内壁をゆっくりと流れる印象です。第一香では、白い花、レモンピール、青リンゴ、洋梨といった清潔感のあるアロマが立ち上がり、少し時間を置くと、アーモンド、ヘーゼルナッツ、白い石、バターを思わせるニュアンスが現れます。口に含むとアタックはしなやかで、果実の丸みが先に広がり、その後に酸が輪郭を整えます。中盤ではレモンの果皮や白桃、熟した洋梨の果実味に、ミネラルの張りと穏やかな樽由来のコクが重なり、村名ワインらしい立体感を形成します。余韻は中長く、石灰質由来の塩味を思わせる締まりが残り、2022年らしい熟度とバランスの良さが感じられます。温暖傾向の年として語られる2022年ですが、このワインでは重さよりも明晰さが際立ちます。

食卓を彩る料理

このワインは、果実と酸、樽のバランスが良いため、幅広い料理と合わせやすいです。たとえば、ホタテのポワレに焦がしバターとレモンを添えた一皿は、甘みと香ばしさをきれいに引き立てます。ほかにも、鶏もも肉のクリーム煮をきのこで仕立てたフリカッセ、白身魚のムニエルにケッパーと焦がしバターを合わせたクラシックな一品、仔羊のローストにローズマリーとじゃがいもを添えた皿も好相性です。さらに、グリルしたホワイトアスパラガスにオランデーズソースを合わせると、シャサーニュ・モンラッシェらしい石灰質の輪郭が際立ちます。チーズなら、コンテの熟成タイプやシャウルスのようなクリーミーな白カビ系とも美しく寄り添います。

シャサーニュ・モンラッシェ村とその丘陵が語るもの

シャサーニュ・モンラッシェ村は、コート・ド・ボーヌのなかでも、白と赤の双方で個性を示す土地です。特にモンラッシェ、バタール・モンラッシェ、クリオ・バタール・モンラッシェといったグラン・クリュの裾野に位置することで、世界的な銘醸地としての名声を確立してきました。村の西側にはなだらかな丘陵が続き、東向きの斜面には朝の光を受けやすい区画が多く、成熟と酸の保持が両立しやすいとされています。土壌は粘土石灰質が中心ですが、場所によっては石灰の比率や深さが異なり、それがワインの質感の違いに直結します。南隣のサントネーよりも白ワインの評価が高く、ピュリニー・モンラッシェよりもややふくよかで、温かみのあるスタイルとして理解されることが多いです。そうした村の個性を、ジョゼフ・ドルーアンは過度に装飾せず、素直に、しかし丁寧に描き出しています。

このワインを深掘る

BUDOU-LOG編集部